生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則

 

生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則

遠藤 功 

 

経営コンサルタントの著者が長年の経験をもとに書いた、

「生きている会社」を作るための本。

会社を生命体としてとらえ、「生きている会社」と「死んでいる会社」とは

どのような状態にあるのかを解明していく。

 

世に出回る多くの企業論・経営論は、会社を経済体としてのみとらえており、

「利益の追求」を目的とした方法論を論じることが多い。

本書は会社の目的を「独自価値を創造し続けること」と定義し、

挑戦無き会社は死んでいると酷評する。

 

前半部分にて「デーワン」の活力を維持するためには「創造的新陳代謝」が必要と指摘する。

業務は日を追うごとに肥大化し、企業は老化する。

停滞・閉塞に陥る前に業務を「捨てる」「やめる」「入れ替える」ことが重要とし、

経営は「引き算である」とまで論じている個所に共感する。

某先生から、「PCの中で最も生産的なキーはバックスペースだ」という話に

通ずるところがあると感じた。

 

本書の後半部分では、「生きている会社」になるための具体的な方法が記されている。

「生きている会社」は「熱」を帯びている、「情」に充ち溢れている、など

一見すると感情論か?と思うような見出しがついているが、

読み進めていくとその背後には著者の経験に基づく論理的な考えがある事がわかる。

また全編を通してamazonやホンダ、コマツなどといった挑戦的な企業が残した

実績や改革者の言葉が記されていて実感がわきやすい。

 

自分の会社もとにかく「大企業病」に侵されており、「成功の復讐」により身動きが取れなくなっていると、

危機感を覚えた。

人口減少や経済動向によって企業のあり方も大きく変わっていくことが求められる未来では、

ある状況においてひたすら強い企業ではなく、変化に耐えられ状況に応じて新陳代謝を繰り返す

真に強い企業のみが生き残っていくのだと感じた。

知立国家 イスラエル

知立国家 イスラエル

米山 伸郎

 

アインシュタインが好きで本を読んでいると

ユダヤ人の国家イスラエルについて興味が湧いたので読んでみた。

 

イスラエルが先進国に分類されるということさえ知らなった。

戦争のイメージがあり発展途上国と思っていたが

本の冒頭からハイテク産業や著名人についての記述があり興味をそそられる。

インテルのCPUやグーグルサジェスト機能、ドローンを含む軍事技術など

イスラエルは数多くの先進技術を開発してきており、ノーベル賞輩出者数も世界トップレベル。

そんなイスラエルの成長の背景や歴史に迫る本。

 

日本との対比も興味深い。

ジャパンアズナンバーワンの時代から一転、日本はイノベーションを起こせず

停滞が続いている。

イスラエルには国家存亡という目標に向かって絶えず前進し続けたのだと知り、

「日本は平和」という言葉の意味を考えさせられる。

人口オーナス期に入っている日本はイスラエルに学ぶことが多くあるという記述に共感するとともに、

今後の自分の人生設計についても考えさせられる本だった。

 

ユダヤ教は、過去の先人たちの失敗さえも教典に載せ、

過去から現在まで絶えずその教えについて「なぜ」と解釈の意味を議論し続けてきた

との事。

学び続ける姿勢が重要だということを再認識した。

新生産性立国論

日本の人口構成、制度上の課題を具体的に上げ、

今後日本を持続的に成長させていくための方法を論じる。

 

かなり過激で大胆な書き方ではあるが

外国出身の著者だからこそ、切り込んだ内容となっている。

 

日本は労働者の生産性が先進国中最低であること、

今までの高度成長は人口急増にあやかっていた という点には衝撃をうけた。

 

プラットフォーム革命

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

 

アレックス・モザド、ニコラス・L・ジョンソン 著

 

現代経済を支配するプラットフォーム企業のビジネスモデルを解説する本。

具体例を多く取り上げており、巨大企業の盛衰を描きながら、プラットフォームの実態に迫っていく。

 

ノキアブラックベリーの衰退の話は、対岸の火事とは思えない。

「技術的に上だからと言って、消費者が買いたい気持ちになるとは限らない。」という言葉に、

身が引き締まる思いだった。

いまだに日本では 技術が優れている 事を絶対優位と考える傾向があるように感じる。

オープンソースの考え方をもっと取り入れ、

巨人の肩の上に立って成長していかなければ先は無い。

 

過去に繁栄していた巨大製造企業は、直線的なビジネスモデルにより、

大量消費を促して成長してきた。しかし

人口減少が進んでいく現代では通用しなくなる。

エコシステムを作り上げ、ネットワーク効果を利用して市場を活性化もしくは補完しなければならない。

 

また、ソフトウェアはそれだけならコピーされてしまう。オープンソースの社会の中で防御性をもたらすのは

ネットワークである、との事。

巨大なプラットフォームには巨大なエコシステムが存在しており、

そのシステムが他社への優位性となる。

 

ゴールドラッシュ・・・プラットフォーム周辺には、多くのビジネスが潜んでいる。

ハイコンセプト

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ダニエル・ピンク

 

モノよりも「生きがい」、論理ではなく「共感」 など

過去の大量消費の時代を超えた、価値主義的な新鮮な考え方を学ぶことができた。

 

人工知能技術の普及により従来の人間の動作・仕事がロボットに代替されていく中で、

自分が今後提供していくものには本当に価値があるのか?と考えさせられる。

 

本当に長く使われれている製品には所要者の愛着がある。

仕事柄、機能性を追求してしまいがちだが、デザイン性について考え直すきっかけとなった。

 

新しいこと・面白いことを思いつくには才能が必要だと思いがちだが、美術館に行く、モーツァルトを聞く といった具体的な特訓?も多く紹介されていて興味深く、面白い。

右脳・左脳の働きについても勉強になった。人間の表情や行間を読み取る能力(右脳)はロボットに代替されにくい。

プログラミングに代表される論理的な思考能力を鍛えて先進技術についていくことこそが、今後求められる能力と思っていたが、

正反対だったと考え直すことができた。