イノベーション・ダイナミクス

イノベーションダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略

1998/11
ジェームズ・M. アッターバック (著), James M. Utterback (原著), 大津 正和 (翻訳), 小川 進 (翻訳)

 

イノベーションに纏わる動的な変化を研究し、まとめた本。あまりじっくりは読めなかったけど、以下気になった個所

 

製品イノベーションと工程イノベーションの発生率の時系列変化について。市場創成時期には製品イノベーションが多数生まれるが、「ドミナントデザイン」が発生すると製品イノベーションに変わり工程イノベーションが増えてくる。その後安定期に入りイノベーションの数は減少していく。

 

組立型製品と素材型製品のイノベーションパターンは異なる。そういえば弊社は自社製品として組立型製品を売っているが、顧客市場は素材型製品の市場なので、どちらにも精通してビジネスを行う必要があると思う。

消費者としての素材型製品の需要を引き起こすためには、最終顧客である自動車や建材が売れなければいけない。この最終製品市場にもっと入り込んで市場調査やマーケティング戦略を立てていかなければ、弊社製品の未来は無いのでは、と感じる。例えばコイルセンター事業やスリッターライン用のサービスを行っていけば需要の先取りや市場刺激を行うことができるのではないでしょうか。

 

大企業はスイッチングコストが大きく、破壊的イノベーションの波に飛び移れないことが多い。この辺はクリステンセン氏のイノベーターのジレンマに通じる。最強の事業戦略でも最終的には必ずひっくり返される時が来る。この理解を持って、市場の不連続性に橋を架けて乗り越える準備をしておかなければ、激動の時代に取り残されてしまう。