生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則
生きている会社、死んでいる会社―「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則
遠藤 功
経営コンサルタントの著者が長年の経験をもとに書いた、
「生きている会社」を作るための本。
会社を生命体としてとらえ、「生きている会社」と「死んでいる会社」とは
どのような状態にあるのかを解明していく。
世に出回る多くの企業論・経営論は、会社を経済体としてのみとらえており、
「利益の追求」を目的とした方法論を論じることが多い。
本書は会社の目的を「独自価値を創造し続けること」と定義し、
挑戦無き会社は死んでいると酷評する。
前半部分にて「デーワン」の活力を維持するためには「創造的新陳代謝」が必要と指摘する。
業務は日を追うごとに肥大化し、企業は老化する。
停滞・閉塞に陥る前に業務を「捨てる」「やめる」「入れ替える」ことが重要とし、
経営は「引き算である」とまで論じている個所に共感する。
某先生から、「PCの中で最も生産的なキーはバックスペースだ」という話に
通ずるところがあると感じた。
本書の後半部分では、「生きている会社」になるための具体的な方法が記されている。
「生きている会社」は「熱」を帯びている、「情」に充ち溢れている、など
一見すると感情論か?と思うような見出しがついているが、
読み進めていくとその背後には著者の経験に基づく論理的な考えがある事がわかる。
また全編を通してamazonやホンダ、コマツなどといった挑戦的な企業が残した
実績や改革者の言葉が記されていて実感がわきやすい。
自分の会社もとにかく「大企業病」に侵されており、「成功の復讐」により身動きが取れなくなっていると、
危機感を覚えた。
人口減少や経済動向によって企業のあり方も大きく変わっていくことが求められる未来では、
ある状況においてひたすら強い企業ではなく、変化に耐えられ状況に応じて新陳代謝を繰り返す
真に強い企業のみが生き残っていくのだと感じた。