価値づくり経営の論理―日本製造業の生きる道

価値づくり経営の論理―日本製造業の生きる道

2011/9/21
延岡 健太郎 (著)

 

少し古い本ですが読んでみました。

 

著者は広島県出身でマツダ自動車にも在籍していたとの事。

経営学を専門に、経営や製品開発に関する

著書があるようです。

 

日本の製造業がなぜ過去の栄光から遠ざかっていったのか、

今後再び成長していくためにはどうしたら良いのか という事について

ヒントがあればと思い読んでいきました。

 

本書の前半部分では、なぜ日本企業が低迷していったのか、

後半部分では今後の製造業の目指すべき姿について論じています。

また後半部分にはキーエンステルモなどの、高い価値づくりを

達成している企業の具体的取り組み方について記されています。

 

著者の主張として一貫していることは、機能・スペックには表れにくい

使用者側の意味的価値をもっと重視していくべきだ、という事。

全体を通して、やや「当たり前」の事が書いてあるようですが

自分の会社ではそんな当たり前も達成できていないことが

改めて思い知らされます。

特に気になった点や今後考えていきたい点を挙げます。

 

日本企業は高いものづくり力(製造側が決める価値)が顧客価値を高めると

信じ、実際に1980年ごろまでは顧客価値とものづくり力が結びついていた。

しかし現代において求められるのは、使い勝手や使用したときの興奮など、

数値的に表しにくい使用者側が決める価値である。

高機能の物が売れないからと言って顧客価値に合わせて作った製品や、

安く低スペックのものを作っても、途上国のメーカーには勝てない。

(供給曲線を行ったり来たりするだけ)

高い価値づくりのためには、真に顧客の事を理解し、顧客企業に対して

コンサルティングができるだけの能力が求められる。

顧客のなかで顕在化している問題を解決するだけでは成長が頭打ちしてしまう。

顧客内部に潜り込み、潜在的な問題解決を提案していかなければ

持続的な成長は望めない。

 

本書では決してものづくり力をあきらめたり技術開発の手を緩めることを

推奨しているわけではない、との事。しかし限られたリソースをどこに

割り振るのか、思い切った方向転換も必要ではないかと思う。

あれもこれもと、良いことばかりやろうとしても、会社としての方向性が

わかりにくく、どっちつかずになってしまう。

自分の会社も、その辺の舵取りが全くされていないので、

将来性を感じることができないんだろうなあと思う。

 

今後はより顧客企業の業務を深く知る努力をしていきたいと思います。